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2009年06月28日

59.別れ・・・そして夢へ(6)

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「それは間違いないですね。もっと戦闘力のあるマシンを提供したかったけれど、まだホワイトGPや復活したフィオーレにはマシンのポテンシャル面で及んでいないというのが本音です。」

「残る3戦、コンストラクターズチャンピオンは厳しそうですが、念願のドライバーズチャンピオンが手に入れられると思いますか?」

「コンストラクターズも諦めていませんよ。」宮城は苦々しく笑った。

「ですが、ドライバーズチャンピオンシップは絶対に今年取ります。これが取れなければ、ミヤギGPは撤退する覚悟もしています。」

「それほどの自信は?カドヤ選手に対するミヤギ・オーナーの並々ならぬ思い入れが噂されていますが。」核心を突く質問だった。

「ええ、このチームはカドヤ選手のために作ったチームだと思ってもらって良いでしょう。私は、自分が成し得なかったことを、天が私に引き合わせてくれた才能に託してきました。」

「シリーズチャンピオンをとっても、カドヤ選手は引退すると宣言されていますが。」さらに質問が続く。

「ええ。ただし、そのときは後継者をすでに決めています。いずれにしても、カドヤ選手があと3戦で結果を出してからの話ですがね。ただ、絶対に取りますよ。」宮城の表情は決意に満ちていた。

「じゃ、そろそろ時間ですので。ここでプレス・リリースは終了させて頂きます。」ミヤギGPの広報担当が言った。

「最後に!」カートマガジンの竹田が大きな声で宮城に向かって言った。

「私たちも期待しています。ぜひ、結果を。お願いします!」

「ありがとう、竹田さん。」宮城は竹田にだけは名前を付けて返事をした。



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posted by 北乃 道晴 at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 059.別れ・・・そして夢へ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

59.別れ・・・そして夢へ(5)

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3年後の10月の日本グランプリ。

ミヤギGPのモーターホーム前にプレスコーナーを設けて、宮城がインタビューに答えている。

「とうとうここまで辿り着きましたね。」メディアの1人が言った。

「デビューイヤーに続き、翌年もあと1つというところでコンストラクターズチャンピオンシップ、ドライバーズチャンピオンシップ共に2位止まり。そこから2年、低迷が続きましたが、今年のマシンも決してベストではないですよね。」

「本音から言えば、2年目の終盤でホワイトGPのポテンシャルが一気に上がったことが、我々の低迷の発端になったことは事実です。3年目もドライバーの力量で中盤戦までシリーズ1位を維持できていましたが、その後はどうしようもなかった。特にあの事故があってからはね。」宮城は一瞬、表情を曇らせた。が、続けて、

「昨年はドライバーの面でもポテンシャル不足が露呈して、表彰台から一気に遠ざかってしまった。ただ、昨年の中盤以降、ファクトリーの方でマシン開発が順調に進み出したのが救いだと思います。」

「そして、今年。セカンドドライバーのマキアイネン選手はまだ10位以内に入るのにも苦労していますが、カドヤ選手は第1戦から一度も表彰台を降りていません。しかも優勝がすでに6回。2位が7回。やはりドライバーに拠る所が大きいと思いますか?」プレスが、カドヤの存在の大きさを強調して聞いた。



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posted by 北乃 道晴 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 059.別れ・・・そして夢へ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

59.別れ・・・そして夢へ(4)

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「恭子が!?」顕児は叫んだ。

表彰式とプレスインタビューを終えてモーターホームに戻ってきた顕児に、宮城はすぐに切り出した。

「すぐロンドンへ戻れ。車も待たせてある。恭子ちゃんが倒れた。」宮城は目を伏せながら言った。そして、呆然としている顕児に、
「急げ!」とだけ叫んだ。

顕児はミヤギGPのスタッフが運転する車で空港へ向かい、チャーターしてあったプライベートジェットでロンドンへと飛んだ。

ロンドンでもミヤギGPのスタッフが車で迎えに来ており、リージェンツ・パークのロンドン医大病院へと連れて行ってくれた。

車中、「キョーコの家族にも連絡は入れたが、到着は明日になるだろう。」と説明を受けた。

ロンドン医大病院の受付で恭子の居場所を確認し、ICUで治療を受けていることを知った。

ICUへ案内されると、意識のない恭子がベッドに横たわっているのを目にした。

「恭子。」顕児が、ICUの窓から声をかける。

そのとき担当医が顕児に声をかけた。

「妊娠中毒症が起因となった心臓発作です。ご自分で病院へ連絡を入れて頂けたので、最短時間で救急車で収容することが出来ましたが・・・。」

「今の容態は・・・?」顕児は全身が熱くなり、不自然な発汗を感じながら担当医に聞いた。

「残念ですが・・・、今晩もつかどうか・・・。全力は尽くします。」そう言って、担当医はその場を離れていった。

「そ、そんな・・・。」

顕児はICUの大きな窓に頭を押し付けて、足元を見続けていた。



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posted by 北乃 道晴 at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 059.別れ・・・そして夢へ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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