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2009年06月01日

41.フォーミュラ(1)

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KF1第3戦、第4戦は6月に宮城県UGOサーキットで開催された。

「顕児、タヨタ自動車のFTRSに参加するのか?」デラクルードが、顕児のピットに現れた。

「いちおう書類審査には応募したんだけど・・・。デラにはもう返事来たのか?」顕児が心配そうにデラクルードに聞いた。

「いや、俺んところもまだ返事が来ないからお前に聞きに来たんだよ。」

「2人とも落ちたのかな、書類審査?」顕児がそっけなく言った。

「うーん、まあ顕児は落ちたとしても、俺んところは遅れてんだろうな。じゃぁな。邪魔したな。」用件が済むとデラクルードはさっさと引き上げていった。

「ちぇ、マイペースな奴。」

タヨタ自動車のFTRSは2泊3日のレーシングスクールのことで、カートレース経験者であれば14歳から参加可能だ。ただし、FTRSは将来のF1ドライバーを発掘するという大きなミッションを背負っており、書類選考の段階で厳しく参加者が絞り込まれる。今年も例年通り、7月末に開催される。また、このスクールでは並行して審査も行われており、将来性が認められる成績優秀な数名のドライバーにスカラシップを与え、翌年度のFCN(フォーミュラチャレンジ・ニッポン)へのエントリーをフルサポートするシステムになっている。

宮城もFTRSでスカラシップを獲得し、シルバーストーン・レーシングスクールを経てヨーロッパへ進出し、最後にはF1へと駆け上っていった。

ちなみにFTRS参加には20数万円の参加費が必要だ。

幸運なことにこの参加費を、顕児の両親が「塾に通わせたと思えばいいよな。成績もずいぶん上がったみたいだし。」と立て替えてくれた。



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posted by 北乃 道晴 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 041.フォーミュラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

41.フォーミュラ(2)

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土曜日のKF1第3戦は危なげなく顕児が3勝目を上げて終了した。

「順調すぎて怖いよな。」角谷が孝雄に呟いた。

そしてその不安は、翌日の日曜日、KF1第4戦で現実となった。

土曜日と同様に順調にトップで快進撃を続けていた決勝レースの7周目。

バックストレート直後の左回りのヘアピンに進入した時、アンダーステアとは言えないくらい大きくマシンの方向がコーナーの外へ振り回された。

『んっ!?』

そのまま顕児のマシンは直進して、コース外の浅い堀に転落して行った。

この瞬間、顕児のリタイアが決まった。

レース後にマシンをピットに運び込んで調べると、右フロントタイヤの車軸にはめ込まれているベアリングがバラバラになって無くなっていることが判った。

フルブレーキ直後に操舵した瞬間、最大のストレスを受けて破損したらしい。

「これじゃステアリング操作してもタイヤの向きが変わらないよな。」孝雄が説明してくれた。

「ノーポイントは痛いなぁ・・・。」顕児がため息をついたが、
「でも、結果が出てしまったから仕方ないよね。」と、気持ちを切り替えるしかなかった。

第4戦ではベテラン選手の安田が優勝、2位にデラクルード、3位にやはりベテランの島谷が入賞して終了した。

まだまだポイントリーダーを顕児が守っているが、デラクルードの安定性は今後の脅威として意識せざるを得なくなった。



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posted by 北乃 道晴 at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 041.フォーミュラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

41.フォーミュラ(3)

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デラクルードと顕児が再会したのは、夏休みに入って7月末に迎えた新富士モーターウェイでのFTRS当日だった。

「なんだ顕児、書類選考で落とされなかったんだ。」笑いながら大きなかばんを肩にかけてデラクルードが声をかけてきた。

「あ、デラ。」

2人は並んで、新富士モーターウェイのゲートをくぐって歩き始めた。

「何人くらい集まるんだろうな?」デラクルードが言う。

「シフト操作って、手こずるかなぁ。」顕児が一番心配していたことを口にした。

「俺も正直わかんねーな。ミッションカートも乗ったこと無いから。」デラクルードが答えた。

「ところでさぁ、夏休みだけど恭子ちゃん帰って来てないの?」デラクルードが鼻の下を伸ばして聞いた。

「全然連絡無いんだぁ。今年は帰ってこないんじゃないのかなぁ。」顕児は思い出したく無いように言った。

実のところ顕児は、7月初旬にスーパーマーケットで偶然会った恭子の母から、恭子は今年は夏休みに帰れないと連絡があったと聞かされていた。

が、ふと思い出したように、

「それに、好きな奴いるって言ってたじゃん。」と、ニヤニヤしながら答えた。

「やっぱりそうかぁ・・・。」デラクルードが肩を落とした。

集合場所として指示されていた建物の前に近づいたとき、顕児たちと同じように建物の中に入っていく人間が何人か見えた。



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posted by 北乃 道晴 at 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 041.フォーミュラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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