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2009年05月31日

40.アクション(1)

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KF1クラスにステップアップして初めてエントリーした第1戦と第2戦で、信じられないことに顕児は2戦とも優勝してしまった。

周囲のレース関係者が驚く以上に、顕児本人が驚いていた。

「あんなマシンで、良くここまでトントンとのし上がって来たもんだ・・・。」

ピットやパドックでの噂、カートマガジンで竹田が特集する記事、そして丸山自動車のピットで実際にボロボロのマシンを見かけた者は、一様に顕児のことを見直し始めていた。

そして顕児本人も、

「もしかしたらまだまだ頑張り続けられるかもしれない・・・。」そう思い始めていた。

『だったら、とにかくずば抜けてるかどうか受けてみればいーだろ!』

昨年、孝雄に言われたセリフを思い出して顕児は行動を始めた。

KF1は土曜、日曜の2日間に2つのレースを行うハードスケジュールになっていて、年間合計8〜9戦でチャンピオンシップを争う。

「とにかく、一つ一つ全力で続けるしかない。」という思いと、

「フォーミュラに乗るために、出来ることは何でもやってみよう!」という決意を固めたのだ。



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posted by 北乃 道晴 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 040.アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

40.アクション(2)

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レースの無い週末は、顕児は必ずアタコ・サーキットで練習に集中する。

一方平日は、放課後すぐに学校を出て、その日のうちに戻って来れる範囲のレーシングチーム巡りを繰り返す。

会ってくれると言ってくれるチームがあれば飛んで行き、

「お金は全くありません。が、来年、1レースでも良いですからマシンを貸してください。」と頼み続けた。

「フルサポートしろってこと?そりゃ無理だよ。」

「うちはお客さんのマシンをサポートするだけで精一杯だからねぇ。」

「F1ドライバーみたいに、お金を集めて来れるようになったらおいで。」

当然の返事が、そのたびに顕児に帰ってくるだけだったが・・・。

もちろん、「スカラシップを利用して、フルサポートを獲得すればいいと思うよ。それだけやる気があるんだから。」とも言われた。孝雄と同じように。

その通りであることは顕児にも充分判っていた。

だが、スカラシップを獲得できなかった場合でも、何とかフォーミュラに乗りたい。スカラシップでのフルサポートだけでなく、考え得る全ての方法を今から打診してチャンスを広げておきたい。

その一念で、次々と訪問を繰り返した。

ここのところ、帰宅するのは夜11時近くになることが多かった。

夕方5時過ぎに学校を飛び出し、電車を乗り継いで訪問先を回ってくるのだから。

だが、中学3年生というだけで、当然ながらほとんどが断ってくる。

そんな中で、「まあ来てみたら?」と言ってもらえればそれだけでも有難かった。

だから、このくらいの苦労で凹んでててたまるかという気持ちが支えになっていた。

『あたしは春から仕事しなきゃなんないしー。もうじっくりバンドなんてやってられないんだろーな。』

香苗の言葉が何度も顕児の脳裏に浮かぶ。

顕児自身にとっても決して充分な時間が残されているわけではない・・・と告げるように。



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posted by 北乃 道晴 at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 040.アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

40.アクション(3)

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「おう、おまえさんか。ほんとにチューボー1人で来るとはなぁ。」と、大柄で太った男が顕児に話しかけた。

『千葉自動車サービス』と看板、工場に書かれたそこは、自動車スクラップ工場そのものだった。

自動車雑誌やウェブには自社チームでFJ1600やF3にエントリーしていると同時に、レーシングカーの販売修理も行っていると書かれていた。

が、そのような気配が全く外からは見られない。

『ちょっと違ったかな?』顕児はいぶかしんだが、とりあえず来てしまった以上は話しもせずにその場でUターン出来る雰囲気でもなかった。

「いつもレース後のレポートをメールで送ってきてたよな?あちこちに宣伝しまくってたんだろ?」太った男は顕児に言った。

「はい、少しでも僕のことを売り込んでおこうと思って。」正直に顕児も答えた。

「で、何軒くらい回った?」

「まだ30件くらい・・・ですかね。」

「全部断られたかぁ。」と太った男は大笑いした。

「はい・・・。」

「そりゃ無理ねーよ。おれだって、断るよ。」

『何だよ、断るって決めてんのに呼んだのかよ・・・。』顕児は思わず表情を変えてしまった。

「言っとくけど、ビジネスでレースをするんなら金が必要なんだよ。覚えとけ。」太った男が、顕児の表情に気付いて睨んだ。

そして太った男は、顕児を解体工場の大きなシャッターの横にある事務所に連れていった。



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posted by 北乃 道晴 at 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 040.アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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