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2009年05月24日

32.関係(1)

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この年の東西統一選では、道下がKF2のチャンピオンに、デラクルードが3位に入賞した。

顕児は西地区KF2クラスに途中参加して出場3戦、優勝1回の結果を残したが、東西統一選の参加資格は得られなかった。

「まあ、1つ壁を越えられたことは大きな成果だったよな。」角谷が顕児に向かって言った。

「来年、道下はKF1だろうなぁ。」顕児は角谷が運転する自家用車の助手席で言った。

暮れも押し迫った金曜日、角谷と顕児の親子2人は家庭の用事で出かけていて、ちょうど今その帰途に就いていた。

丘の上公園が見える通りに差し掛かったとき、突然顕児は「あ、父さん。ちょっとここで下ろしてもらってもいい?」と角谷に声をかけた。

「ああ?ここでか?」

「うん、もしかしたら会えるかなと思ってさ。」

「恭子ちゃんか。まあ、まだ4時だしな。好きにしろ。」

そう言って、顕児が止めてくれと言った場所ではなく、恭子の家まで角谷は車を走らせて顕児を降ろした。

「邪魔しないですぐ帰って来いよ。」そう言って、角谷はすぐに車を走らせて行った。

静まり返った恭子の家の前に立って顕児は少し周囲を眺めていたが、恭子の家の車があることを確認して、意を決して玄関に向かって歩き出した。



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posted by 北乃 道晴 at 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 032.関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

32.関係(2)

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「あ、顕児君!」不意打ちの様に後ろから声を掛けられた。

恭子の母親だった。

「あ、ご無沙汰していました。」

「ほんとにねぇ。そうそう、全日本の初優勝、おめでとう。」

「あ、はい。でも、恭子さんが居なかったからですよ。」

「ふふっ。恭子も同じこと言ってたわよ。失礼な子よね。」ケラケラっと笑いながら、恭子の母親が言った。

「はあ・・・。」さすがに悔しい思いで顕児も返す言葉が無くなった。

「恭子でしょ?模擬試験に出かけてるんだけど、そろそろ戻ってくるから家に入って待っててくれない?」

「え?」

「ほらほら、さあ入って。」

抵抗する余地も無く、顕児は恭子の居ない、そしてその他家族全員が揃っている白鳥家に連れ込まれてしまった。

ソファーに1人座らされて、さすがに固くなる顕児。

恭子の父親と弟の了祐は床に座って顕児の方を見ていた。



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posted by 北乃 道晴 at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 032.関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

32.関係(3)

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「とうとう全日本でも優勝したね。すごいよ。」恭子の父親が言った。

「角谷さんって、いま小学校でも有名になってるよ。」了祐も嬉しそうに言った。

「はぁ・・・。でも、恭子さんが居ないから勝てたようなもんですし・・・。」顕児は遠慮がちに答えるしかなかった。

「お父さんも喜んでたでしょ?」飲み物とお菓子を持って恭子の母親も居間に入ってきた。

「まあ、少しですけど。家では、やっぱり恭子さんに期待してるみたいで・・・。」

「お父さん、そう言ってあなたに期待かけてるのよ。」

「そうですかねぇ・・・。」

なんとも居ずらい雰囲気に、顕児は正直困り果てていた。

『何でおれ、さっさと断って帰らなかったんだ・・・。』

恭子を待っている時間をもてあましながら、ふと顕児は聞いてみたいことを思い出した。

「恭子さんは英語の資格を取ってどうするつもりなんですか?」

白鳥家の人間も、これには即答しかねる表情になった。

恭子の母親が、

「何も教えてくれないのよ、あの子。とにかく1年生のうちにTOEICで800点を取る必要がある!の一点張りでね。」と答えた。

「そうですか。」

期待はずれの答えに、顕児も話題が途切れたなと思わざるを得なかった。

中学受験といい、TOEICといい、今までの恭子とは思えないほど集中して取り組んでいるのは確かね。」



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posted by 北乃 道晴 at 21:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 032.関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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