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2009年05月17日

26.交流(1)

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土曜日のアタコ・サーキット。

「おおっ、どうしたのそれ?」

「さすが、チャンピオン!いよいよオリジナルペイントかぁ!」

丸山自動車のメンバーが、恭子が取り出したヘルメットを見つけて口々に言う。

「えへへ、可愛いでしょ?」恭子もお気に入りのヘルメットを見つめて嬉しそうだ。

あのハートマークの彗星の下には筆記体で「フォーエバー フレンドシップ」の文字が加えられていた。恭子のはるかに対する永遠の友情に応えて、高井が書き加えてくれたものだ。

「おーい、恭子ちゃん、お客さん来てるんだぁ!」着いたばかりの丸山自動車のピットへ森本が声をかけに来た。

「私にお客さんですか?」

顕児は相変わらず、気に入らない顔で恭子の方を向いていた。

「やあ、久しぶり。白鳥恭子さん。」カートマガジンの竹田だった。

「あ・・・。こ、こんにちは。」

鈴馬のレース後、竹田は恭子にインタビューすることが出来なかった。

ワンボックス・カーでの遠征だった恭子たちが、驚くほどの勢いで帰り支度して戻ってしまったからだった。

「今日はお話聞かせてもらえるよね?」竹田が握手を求めてきた。

恭子も素直に握手に応じた。



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posted by 北乃 道晴 at 11:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 026.交流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

26.交流(2)

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『本当に小さな女の子だな・・・。』竹田があらためて信じられない気分になった。

「この記事、読んでくれた?」

事務所に貼り付けてある記事を見て、竹田が嬉しそうに言った。

『東西ジュニア決定戦』で全クラスを通じて最速のラップを叩き出した恭子の走りを、写真を5枚も使って詳細に解説した記事だった。

あの片輪走行のクローズアップ写真も掲載されていた。

まだまだ底辺クラスのドライバーのドライビングをこれほど詳細に紹介するなど異例も異例。竹田の、恭子に対する興味が如何ほどかが判る。

「僕が勝手に書かせてもらった記事なんです。」

「いやぁ、でも良く分析してますよぉ。ね、恭子ちゃん。」森本が言う。

「すみません、私よく判らなくって。」恥ずかしそうに恭子が答えた。

呆気にとられる竹田と、森本。

「あ、あぁ。まあいいけど。」少しがっかりしながら竹田は、気持ちを切り替えて、

「あ、そうそう。実は今日は2人ほど関西からここへ遠征して来ているんです。」と言った。

「遠征?」初耳の情報を聞いた森本が言った。

「実はうちの編集部、前回の『東西ジュニア決定戦』の2、3位に入った道下洋平君と、デラクルード潤君を、この1年取材させてもらってるんです。」

「カートを続けるための家庭環境とか、本人の成長具合とか紹介したくってね。」



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posted by 北乃 道晴 at 13:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 026.交流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

26.交流(3)

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カートは低コストで出来るモータースポーツの1つだが、決して安価ではない。しかし、工夫次第では恭子たちのように廃棄寸前の中古品を集めてきてクルマを用意したり、手弁当で安く楽しむことも可能だ。

そして本人の気持ちと努力の積み重ねが、レベルの高いレースを可能にしてくれる。

カートマガジン誌では、初心者カーターのために、そして家族で楽しめるスポーツとしてノウハウを紹介する企画として、道下とデラクルードをモデルケースとして1年間の活動を紹介し続けているというわけだ。

「で、今日はその2人もピットで、ほら、いま走る準備してもらってます。」

「え、来てるんだ?」森本は窓からピットを眺めた。

カートマガジン誌のスタッフが数人手伝って、道下とデラクルードは初めてのコースで練習走行の準備をしていた。

「結構小さいコースだなぁ。」道下がビックリしたように言った。

「そうですね、でも面白そうですよ。」デラクルードはすぐにでも走りたくてたまらない様子だ。

「タダで連れて来てもらえるなんて、今日はラッキーだし!」

「ホンと、こんなサポートしてもらえるなんて生まれて初めてだよ。」

「まあ今日だけで申し訳ないけど。」竹田が道下とデラクルードのところに戻ってきた。

「いえ!ほんとに感謝してます。」

「うん。」

「全国誌に名前載せてもらえてるおかげで、オイルとか、たまにはタイヤまで提供してくれる人がいるんです。」

「そう言ってもらえるだけで、僕も君たちを紹介した甲斐があるよ。」竹田は嬉しそうに、子供らしくないほど真摯な2人を見つめた。



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posted by 北乃 道晴 at 17:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 026.交流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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