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2009年05月06日

17.発掘(1)

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ライセンス取得も済み、いよいよレース当日となった。

今日は白鳥家も全員で応援に駆けつけている。

弟の了祐も初めてレーシングカートを目の当たりにして、「怖そう・・・。」と呟いた。

受付、車検、開会式と、どれもが初めての体験。

恭子は、走っている時と違って緊張の連続だった。

驚いたのは顕児だった。

恭子は全く気が付いていなかったが、公式練習が開始されるまで、恭子が顕児のウェアをずうっと握っていたのだ。

が、顕児は何も言わず、恭子のしたいようにさせていた。

恭子と顕児がエントリーするのはジュニアクラス。

顕児が昨年からエントリーしているクラスで、最高成績は6位。

このクラスの常勝チームが葦原RTで、全日本カートやフォーミュラーへの優秀なドライバーを送り出している名門だ。

また、最近実力を伸ばしているのが新しいカートショップが運営しているカイザーRC。ショップの社長がかつてプロのレーシングドライバーだった本格派だ。

とはいえ、小学生だけに限定されたクラスだけに、まだまだ実力は拮抗している。

「さあ、まだ空いているうちに楽しんでおいで!」そう言うと、孝雄は恭子のカートを一気に押し出した。続けて顕児も自分で押しがけをしてカートに飛び乗りコースに入っていった。

「恭子ちゃん緊張してたなぁ。」孝雄が、白鳥家に報告する。

「そうでもないぞぉ、ほら見ろよ。」と角谷が戻ってきてコースを指差した。

恭子と顕児が、練習走行だというのにコースインからいきなり元気良く他車を追い抜いていく。

「いい度胸しているじゃないか。」主催者の森本が通りかかって声をかけた。

「凄いよねぇ、ここまでやるとは正直思ってなかったからなぁ。」と角谷も感心して見ていた。



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posted by 北乃 道晴 at 13:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 017.発掘 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

17.発掘(2)

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「さあ、いよいよだよ。」孝雄が恭子と顕児に声をかけた。

タイムトライアルの出番が近い。

「2人ともいつもどおりに走れば良いからね。」

丸山自動車の大人の選手たちも、様子を見に来ていた。

「さあ、うちのダブル・エースの出番だ(笑。」

ジュニアクラスのカートがピットレーンに一列に並んだ。顕児は5番目、恭子は12番目にタイムトライアルに並んでいる。

4台のカートがタイムアタックを終え、いよいよ顕児の出番だ。恭子はすでにカートに座っているので、恭子からは様子が見えない。

が、タイムボードを見ると顕児のカーナンバー17のタイムがどんどん短縮していくのがわかった。

『調子良いみたい。私も楽しまなくっちゃ!』

恭子の前にいたカートもコースへ出て行った。

「次だよ、恭子ちゃん。」

孝雄が声をかけると、恭子のヘルメットが頷く。

ピットレーン前方で旗が振られた。

「行くぞ!」孝雄が声を出して、恭子のカートを後ろから両手で力いっぱい押し出した。

今日のタイムトライアルは各車5周でベストタイムを採用する。

走り出してしまうと不思議と気持ちが落ち着いてしまう。楽しくて仕方が無い。

恭子は自然といつもの練習通りに、心地良く駆け抜けて行く。

しばらくして、突然ピット中で歓声が上がった。

「何だ、あのタイム!?」

「どのマシンだ?あのピンクがそうか?」

恭子には全く聞こえてはいないが、白鳥家は恐ろしく感じながらその歓声を聞いていた。

「そんなに凄いタイムなの?」父親が恐る恐る周囲を覗き見る。

「行っちゃえ、行っちゃえ!」母親はもう当たり前のように恭子を応援していた。



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posted by 北乃 道晴 at 16:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 017.発掘 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

17.発掘(3)

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恭子たちのピット前に、入れ替わり立ち代りピンクのカートと、そのドライバーを覗きに来ている。

「あの女の子?」

「うそだろ?」

「今まで見かけたこと無いよな。」

小声で口々に噂が広まっていく。

が、恭子は顕児と孝雄から色々なアドバイスを受けるのに夢中だった。

と言っても、孝雄は技術的なことは教えられないので、グリーンのカラーが特徴の葦原RTや、派手なステッカーが沢山貼られているカイザーRCのマシンやヘルメットを指差して「彼らのような抜き方、走り方を最初は参考にすると良いよ。」と言った簡単な話に終始していた。

もちろん初めてのレースだから、恭子にはスタート方法やルールなどを簡単に再確認する時間の方が多かったが。

「よーし、ジュニアの予選が始まるぞぉ!」と角谷の声がした。

予選はピットレーンを出てから、タイムトライアルで決まった順位のまま全車で数週走り、スタートラインで旗を振られると同時にレースが始まるルールになっていた。

恭子は初めてだというのに、一番先頭を走る羽目になった。

『何か間違えたりしないと良いんだけど・・・』と心配はあったものの、孝雄から何度も心配事を確認したので、『とにかく注意されるまで元気に行こう』と覚悟を決めた。

予選1組1番でコースインすると、いつもの調子で周回を始める恭子。

スタートの旗が振られるまでは少しゆっくり走るように孝雄から言われていたが、2位以下がなかなか付いて来れない。

ホームストレートを通過する時、孝雄やスターターが『スピードを下げろ』の手を下げる動作が見えたため、『まだ速すぎる?』とスピードを一気に落とした。

そのまま再びホームストレートに戻ったとき、スターターが旗を振った。

『スタートだ!』恭子は一気にアクセルを踏み切ったが、あっという間に5台に抜かれた。

スピードを落としすぎていたのだ。



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posted by 北乃 道晴 at 21:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 017.発掘 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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