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2009年05月02日

14.デビュー(1)

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土曜日の早朝。

「いいなぁー。俺もゴーカート乗りたいなぁ!」

了祐が出かける準備をしている恭子に向かって言った。

「うーん、一緒に行って乗ってみる?」恭子が了祐に言った。

「そのうち機会が出来たらにしなさいよ、了祐。あんたは今日もサッカーの試合でしょ。」

「だって、ゴーカートってあのF1ドライバーみたいでカッコいいじゃん!」

「F1?」恭子が了祐に尋ねる。

「知らないの?恭子ちゃん?」了祐が生意気な口を利く。

「うん、全然。」

「・・・。やっぱりいいなぁー。ずるいよ!」と居間を出て行く了祐。

「何がずるいんだか(笑。スキーも怖がって全然やらなかったのにね。」と恭子の母親が笑って了祐の出て行った方を見ていた。

「準備は良いかな?恭子。」玄関先で父親が声をかける。

「あら、孝雄さんが迎えに来てくれるって行ってたじゃない。」と母親が父親に答える。

「いや、今日は俺も見に行ってみようかなって。」

「えー、スーパーに買出しにも行きたいのよ。」

「明日じゃ駄目?」

「まったく・・・、今日が特売日なのに。」

母親がそう答えたすぐ後に、

「じゃ、私も行こうかな。夕方に了祐を迎えに行くまでに、私たちだけ戻ってくれば良いんだし。」

あっさり決定。

「ずるいよ!みんな。ずっるーい!」

そう大声を上げながら、迎えに来た数人の友達に引きずられて、了祐が先にサッカーへと出かけていった。


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posted by 北乃 道晴 at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 014.デビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月03日

14.デビュー(2)

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「おはようございます!」

『丸山自動車』と書かれたワンボックス・カーに乗って孝雄がやってきた。

「孝雄さん、おはようございます!」恭子が久しぶりに元気に返事をした。

「おお、張り切ってるね!あ、お父さん、お母さんおはようございます。」

「今日はよろしくお願いします。中石さん。」

「いえ、こちらこそ恭子ちゃんをお預かりします。」

「で、私たちもちょっと見学に・・・(笑。」父親が後頭部を触りながら小さい声で言う。

「あ、それならこちらに一緒に乗って行きませんか?」あっさり誘う孝雄。

「あ、いえ、途中で私たち、息子も迎えに行かなければなりませんので。」

「判りました、じゃ、私の後に付いて走って来てください。」

そういって、孝雄の運転するワンボックス・カーと恭子の家のハッチバックのスバル・レガシーが出発した。

何故だかわからないが、気が付いたら恭子は運転している孝雄の横に座っていた。

「お父さんたちと一緒じゃなくて良かった?」視線は前方を見つめたまま、孝雄が笑顔で恭子に話しかける。

「あ、はい。」

『ちょっとでも早く、こういうのに慣れた方が良いのかな?』という気持ちもあったが、本当に、どうして孝雄の横に座ったのか恭子も判らなかった。



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posted by 北乃 道晴 at 09:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 014.デビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

14.デビュー(3)

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アタコの森に入り、アタコ・サーキットの駐車場に着いた。

「おー、今日は盛況だなぁ。」

ワンボックス・カーのドアを開ける前からレーシングカートのエンジン音が響いてくる。

駐車場に止まっている車も前回に比べて何倍も多い。

「あそこだな。」

『丸山自動車』と書かれた車が2台並んで止まっているのを見つけて、孝雄もワンボックス・カーをそこに寄せた。

「おはようっす!」

「おー、来た来た!」角谷が寄ってくる。

「恭子ちゃん、おはよう!」良く来てくれたと言わんばかりの笑顔で角谷が恭子に声をかける。

「お、おはようございます。」ワンボックス・カーのドアを閉じながら恭子が返事をした。

「凄いでしょ、今日はたくさん来てるよー。」

「そうですねぇ。恭子ちゃんは今日は苦労するかなぁ。」

『苦労?』

コースの見えるところまで歩いていくと、20台以上のレーシングカートがコースインしてすでに走り回っている。

恭子の後ろの方では、恭子の両親と角谷が挨拶をしていた。

「こっちだ。」恭子の耳元に突然声がした。びっくりして右に振り返ると、恭子に向くことなくコースを見つめながら顕児が立っていた。

すたすたと歩き始める顕児の後ろを走って追うように、ピットレーン裏のパドックへ付いて行く。

「おー、来た来た!恭子ちゃんおはよう!」

何人かの男たちがレーシングカートを前にして、恭子の方を向きながら声をかけてきた。

「これだ。」顕児が1台のレーシングカートを見下ろしながら言った。

ピンク色にペイントされた、1台のレーシングカートがスタンドの上に載せられていた。

「これ、恭子ちゃん専用のレーシングカートだよ。」1人の男が声をかけてくる。

「わたし用?」

全体が鮮やかなピンクの可愛らしい?カート。

そっと右フロントタイヤに触れて回してみる。

「私の・・・。」

気が付くと顕児は自分のカートの脇で、別の男と話しをしている。

「これです、白鳥さん」

孝雄の声がした。

「これがゴーカート・・・ですか?」

恭子の父親の声もした。

「すっごーい、可愛いピンクじゃない!」

恭子の母親の声もした。

中古の部品を拾い集めて作ったので、まあこの程度で最初は我慢してください。タイヤだけは新品を使ってますけど。」孝雄がすまなそうに言いながら恭子の目の前に立った。

「早く乗りたくなった?恭子ちゃん。」

孝雄の質問に、恭子は「もう乗っていいの?」と答えた。



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posted by 北乃 道晴 at 11:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 014.デビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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