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2009年04月25日

10.夏休み(1)

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終業式の朝、いつもどおり恭子がはるかの家に迎えに行くなり、はるかがいつもよりも嬉しそうな顔をして恭子に言った。

「おっはよ!」

2人並んで歩き出しながら恭子が「何か良いことあったの?」と聞くと、はるかは、

「明日から九州なの!おばあちゃんの家に行くんだけどね。」と、言って一呼吸置き、

「種子島に連れて行ってくれるんだって!」と弾んだ声で答えた。

『?』

恭子にはそこへ行くことがなぜ嬉しいか全く判らない。

そもそもそれが、何処なのかも知らない。

『鬼が島に似た名前・・・。』と思ってしまったくらいだ。

さすがの沈黙に、はるかも気付いたようだ。

「あ、そうか。ロケットを打ち上げる場所があるんだよ、種子島って。」

それから学校に着くまで、恭子ははるかから、種子島の鉄砲伝来の話、種子島宇宙センターのミッションや、日本のロケットの種類や歴史などを延々と聞かされた。


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posted by 北乃 道晴 at 08:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 010.夏休み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10.夏休み(2)

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教室に入り、ランドセルをロッカーに入れながら、「夏休み中、ずうっと九州にいるの?」と、ちょっと寂しそうに恭子が尋ねた。

「2週間くらい。パパは1週間経ってから来るそうだけど。」

「種の島はいつ?」

覚えたての単語を自信なさそうに使って恭子が聞く。

「種子島よ(笑。たぶん日帰りで1日だけかな。いつ行くのかはまだ決めてないけど。」

「それと、宇宙関連の本とか色々買ってくれるって、こっそりおばあちゃんが電話で約束してくれたんだ。」

嬉しそうにはるかが答える。

『そう言えば、私は今年はどうするんだろう?』

恭子は夏休みの予定を全く立てていなかったし、両親とも話してもいなかった。

クラスのほかの生徒には気が付かない程度の、控えめなニコニコ顔のはるかを見て、恭子はちょっとだけ羨ましく感じた。


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posted by 北乃 道晴 at 17:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 010.夏休み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10.夏休み(3)

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「じゃ、帰ってきたら直ぐ電話するね!」と、はるかが言うと、

「うん、またね!」と、恭子ははるかの家の近所で別れた。

『今日から、家で1人で遊ぶのかぁ〜。』

1人になってから急に寂しさを感じながら、1人きりになることの不安感が胸の中で一杯になった。

はるかは九州へ行ってしまったものの、学校生活からしばらく離れられるという安心感から久々に気持ちの平静を取り戻した恭子は、食欲も少しずつ増え、家族と一緒にテレビを見て大きな声で笑えるようになっていた。

夏休みに入って一週間ほど経った日、週末恒例の大量の買出しを終えて、父親の運転する車に乗って家族全員でスーパーマーケットから自宅に帰ってきた。

恭子の母親が玄関を開いたちょうどその時、家の奥から電話の呼び出し音が聞こえた。

母親がのんびり家の中に入って行くのが見え、その直ぐあとに電話の呼び出し音が消えた。

恭子は弟と一緒に父親を手伝って、車から荷物を玄関に運ぶのを繰り返していた。


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posted by 北乃 道晴 at 19:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 010.夏休み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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