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2009年04月23日

9.祭り(1)

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「来週末にはるかちゃん、宇宙飛行士の訓練を受けるらしいよ!」

夕食の手伝いをしながら、恭子は母親に話しかける。

「はるかちゃんは大人だよねぇ。」と、母親は感心しながら答える。

本当にそうだと、恭子も思った。

「いつかは本物の宇宙飛行士に成っているかもしれないよね。」と、恭子が答える。

「きっと成ってるでしょうね。どんな障害でも乗り越えられる、意志の強い子だもの。」と、母親が楽しそうに答えた。

なんだか自分のことのように嬉しく、感激しながら、恭子は大きく頷いた。

顕児たちの影響で、相変わらず教室では恭子とはるかの2人ぽっちで孤立していた。

でも2人とも、お互いが傍に居てくれることで不安をほとんど感じたことは無かった。

ちょうど図工の時間。

「今日からお祭りだね。」と、はるかが話しかける。

「来週からは夏休みだよ!」と、少しテンションを上げて恭子が答える。

先週末に宇宙飛行士の体験コースを受けたばかりのはるかは、「好きなものを水彩で描く」というテーマで、大人っぽい画風の宇宙ステーションを描いていた。

「何それ?」と、恭子が絵の出来栄えに驚きながら聞く。

「国際宇宙ステーションよ。ここが日本が作ったモジュールなの。」

絵筆を止めることなく、はるかが答える。

「っていうか、なんだか急に絵が上手になってない?」と、とうとう恭子が本音を打ち明ける。

「へへー、毎日描いてるんだもん。」

半ば呆れる思いも感じつつ、はるかの熱心さに感心してしまう恭子。

かく言う恭子の絵はどうかというと、教室の窓から見える風景をとても子供っぽく描いている。

なんだか自分の世界がものすごく狭いことに気付いたような気がした。

「浴衣、楽しみだね。」

はるかが絵に向かったまま話す。

「はるかちゃんは可愛いから良いよね〜。」

恭子が言うと、はるかがまじめな顔をして言った。

「恭子ちゃんは自分のこと、見えなさ過ぎだよ。」


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posted by 北乃 道晴 at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 009.祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月24日

9.祭り(2)

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夕方の4時を少し回った頃。

「行ってきまーす!」

珍しくはるかが恭子の家に迎えに来ていた。

お祭りが行われる神社が恭子の家から近いからだ。

はるかは白を基調とした赤とピンクの花柄の浴衣、恭子も白を基調とした浴衣で紫と濃紺の花柄の浴衣を身にまとっている。

「あまり遅くならないようにね。はるかちゃんはパパに送ってもらうから。」

恭子の母親が玄関先まで出て来て、2人に声をかける。

「はーい!」

2人揃って返事をして、待ちきれないようにすぐさま神社に向かった。

浴衣に下駄と慣れない姿だったが、自然と笑顔になってしまうほど嬉しい着心地だった。

小高い丘の上に堂々と立つ鳥居と社に向かって、長い出店の列が密集してまっすぐ伸びていた。

出店に両脇を挟まれた通りはすでに、人、人、人の大混雑になっていた。

昨年までは、両親、兄弟と一緒に来ていたお祭りだったが、今年は2人だけで来ることが初めて許された。

貯めていたお小遣いと、軍資金にと出掛けに母親から貰った1000円札を、お気に入りの小さながま口財布に入れてきた恭子。

出店の列の中ほどまで来たときに、恭子は大好きな綿飴を買った。

はるかはその数軒先まで進んで見つけた、星の模様が鮮やかなヨーヨーを買った。


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posted by 北乃 道晴 at 06:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 009.祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

9.祭り(3)

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あたりがすっかり暗くなった頃、群集にもまれてくたびれてしまった2人は隣接している小さな公園のベンチに腰掛けていた。

ここでもイベントを行っていて、数多くの照明が昼間のような明るさを作り出していた。

「大丈夫?恭子ちゃん。」

心配そうに聞くはるか。

「ふぅ、さすがにちょっと疲れちゃった(笑。」

しばらく前から、両足に少し痛みを感じていた恭子が答える。

明かりに照らされたはるかの横顔を見て、恭子は驚いた。

なんて大人っぽくて綺麗なんだろう。

2人とも細身だが、はるかはクラスでも少し背が高い。

そんなことも思い返しながら、自分に比べて大人っぽく見えるはるかにドキッとした。

「#$”&!△■・・・」

突然、何やら判らない言葉が二人に向けて投げかけられた。

「*※+>$#&◇」

驚いて恭子が前を見ると、数人の外国人の男女が立っていた。

『えー、どうしよう・・・』

極度の不安が湧き上がり、助けを求める思いで恭子がはるかのほうに振り向こうとすると、

「&%);○◎△□#!&」と、はるかが顔を上げて話し始めた。

思わず恭子ははるかからも退いてしまった。


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posted by 北乃 道晴 at 16:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 009.祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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