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2009年06月01日

40.アクション(7)

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「千葉自動車サービス・・・って、あのチバレーシングの?」孝雄が鳥肌を立てて聞き返した。

「うん。自分で作るならタダでいいって。」顕児は他のチーム探しを始めながら言った。

夜9時の丸山自動車のガレージ。

いつものように2人で話を始めたばかりだった。

「おい、もう他のチーム探すのやめろよ!」孝雄が顕児が見ていたウェブのページを指差して言った。

「おまえ、凄いところから声かけてもらったんだぜ。」

どう考えたって、オーディションやスカラシップで認められて100%サポートしてもらう以外には、自分でマシンを用意しなければタダでレースなんか出来ない。

そんな中で、あのチバレーシングの社長が勉強ついでに無料でマシンをくれてやるって言ってくれた。

もう、顕児がやることは2つに絞られたと同じこと。

まるで自分の事のように、孝雄は興奮しながら顕児に説明した。

「とにかくスカラシップを受けろ。そこで100%サポートを手に入れろ。」孝雄は顕児を睨んで言った。

「それと同時に、チバレーシングでFJ1600を作ろう。俺が手伝う。」

「両方やるって事?」顕児には、荷が重そうに感じた。

「もちろん、千葉社長が許してくれればだけどな。2つのレースに出られれば1年間みっちりフォーミュラを走らせられるじゃ無いか。あり得ないくらい安くだぞ。」

「うん、まあ。」

「才能×練習時間でレベルアップの時間を短縮できる可能性も高くなるし、当然、いろんな人にアピールするチャンスも増やせるんだぜ。」

「勝てるようになればね・・・。」

「お前、勝つ気でやるんだろ?違うの?」孝雄が、止めを刺した。

「そうだよね。そうか、すごいチャンスなのかな?」

「あはは、まだ混乱してるな、顕児。まあ、もう少し時間かけて整理してみろよ。」

「うん、そうする。もう少し待ってて。」苦笑いしながら顕児が答えた。

「俺も年間予算、試算してみるよ。そうだなぁ、いちど千葉社長のところに行ってみたいなぁ。」



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posted by 北乃 道晴 at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 040.アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

41.フォーミュラ(1)

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KF1第3戦、第4戦は6月に宮城県UGOサーキットで開催された。

「顕児、タヨタ自動車のFTRSに参加するのか?」デラクルードが、顕児のピットに現れた。

「いちおう書類審査には応募したんだけど・・・。デラにはもう返事来たのか?」顕児が心配そうにデラクルードに聞いた。

「いや、俺んところもまだ返事が来ないからお前に聞きに来たんだよ。」

「2人とも落ちたのかな、書類審査?」顕児がそっけなく言った。

「うーん、まあ顕児は落ちたとしても、俺んところは遅れてんだろうな。じゃぁな。邪魔したな。」用件が済むとデラクルードはさっさと引き上げていった。

「ちぇ、マイペースな奴。」

タヨタ自動車のFTRSは2泊3日のレーシングスクールのことで、カートレース経験者であれば14歳から参加可能だ。ただし、FTRSは将来のF1ドライバーを発掘するという大きなミッションを背負っており、書類選考の段階で厳しく参加者が絞り込まれる。今年も例年通り、7月末に開催される。また、このスクールでは並行して審査も行われており、将来性が認められる成績優秀な数名のドライバーにスカラシップを与え、翌年度のFCN(フォーミュラチャレンジ・ニッポン)へのエントリーをフルサポートするシステムになっている。

宮城もFTRSでスカラシップを獲得し、シルバーストーン・レーシングスクールを経てヨーロッパへ進出し、最後にはF1へと駆け上っていった。

ちなみにFTRS参加には20数万円の参加費が必要だ。

幸運なことにこの参加費を、顕児の両親が「塾に通わせたと思えばいいよな。成績もずいぶん上がったみたいだし。」と立て替えてくれた。



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posted by 北乃 道晴 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 041.フォーミュラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

41.フォーミュラ(2)

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土曜日のKF1第3戦は危なげなく顕児が3勝目を上げて終了した。

「順調すぎて怖いよな。」角谷が孝雄に呟いた。

そしてその不安は、翌日の日曜日、KF1第4戦で現実となった。

土曜日と同様に順調にトップで快進撃を続けていた決勝レースの7周目。

バックストレート直後の左回りのヘアピンに進入した時、アンダーステアとは言えないくらい大きくマシンの方向がコーナーの外へ振り回された。

『んっ!?』

そのまま顕児のマシンは直進して、コース外の浅い堀に転落して行った。

この瞬間、顕児のリタイアが決まった。

レース後にマシンをピットに運び込んで調べると、右フロントタイヤの車軸にはめ込まれているベアリングがバラバラになって無くなっていることが判った。

フルブレーキ直後に操舵した瞬間、最大のストレスを受けて破損したらしい。

「これじゃステアリング操作してもタイヤの向きが変わらないよな。」孝雄が説明してくれた。

「ノーポイントは痛いなぁ・・・。」顕児がため息をついたが、
「でも、結果が出てしまったから仕方ないよね。」と、気持ちを切り替えるしかなかった。

第4戦ではベテラン選手の安田が優勝、2位にデラクルード、3位にやはりベテランの島谷が入賞して終了した。

まだまだポイントリーダーを顕児が守っているが、デラクルードの安定性は今後の脅威として意識せざるを得なくなった。



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posted by 北乃 道晴 at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 041.フォーミュラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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